国際事業 in ベトナム
「こどもニャーン」報告書

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2019年5月18日~5月21日

【2018年11月26日 下見、現地視察、打ち合わせ】

 

元米山奨学生ユオン・バン・ビン君、村長も同席のもと、幼稚園側と打ち合わせを行いました。実際の建設場所などの確認も行いました。また、かわいい園児たちとのふれあいの時間も少しですが、持つことができました。

お土産を園長先生へ

給食の時間

給食室とも言えないような状況・・・

かわいい園児の表情に思わず笑顔がこぼれます。

園の様子

【2019年5月20日 贈呈式】

ランチャン幼稚園到着

園の皆さんと記念撮影

できあがった給食施設
(中の設備に関しては、今度充実させていくとのことです)

ロータリーのプレート

目録の贈呈

園にトトロの時計を寄贈しました

一般から公募した3名の保育士、栄養士、幼稚園教諭による園児たちとの遊びの時間。
日本からのお土産を嬉しそうに手にとる園児たちとロータリアンも交流に参加しました。

「子どもニャーン」を振り返って 池田ロータリークラブ 会長 井上 裕子

 
 2018~2019年度、池田ロータリークラブは創立65周年を迎え、その記念事業として、ベトナムの貧しい農村にある保育園に、給食施設を寄贈するという奉仕活動を行いました。
 
その分園では米飯を炊くことしかできず、おかずは少し離れた本園から運んできており、その設備も老朽化して廃園が検討されていた状況でしたが、私たちの寄贈により園は継続されることになりました。
 
 実は、この保育園は、10年程前に池田ロータリークラブがお引き受けした元米山奨学生のユオン・バン・ビン君(以下、ビン君)の出身保育園で、クラブ創立60周年の際には園舎を寄贈していました。現在、ピン君はホーチミンで日本語学校を開設し、ベトナムと日本との架け橋となって活躍してくれています。元米山奨学生との交流が続き、共同で奉仕活動ができたことに、より一層の充実感を感じております。
 
 また、今回の事業には市の協力も得ることができ、池田市在住・在勤の保育士・栄養士の方を公募し、選出された2人および市からの派遣教員1名の合計3名に、帯同していただくことができました。彼女たらは言葉の壁を乗り越えて、公示気温42度、実質46度~48度の中、汗だくになって、園児と遊んでくれました。この経験は、彼女たちにとっても、ベトナムの子ども達にとっても、貴重な経験になったと思います。ともすると”物”を寄贈するだけの活動に終わってしまいがちな奉仕活動に、子ども達との交流が加わるこどで、一層の価値が高まったと確信しております。
 
 さらに、これまでの国際奉仕活動は、参加する一部の会員だけの関心事になりがちでしたが、まずは、プロジェクトにベトナムニャーン(食堂という意味)という愛称をつけて、事あるごとにニャーン、ニャーンと言って全会員で共有したり、下見に行き、得た情報を持ち帰って例会で報告したり、ビン君に例会に参加してもらったりすることにより、クラブ員全員によって作り上げられた活動となりました。
 
準備段階から本番の贈呈式に至るまで、様々な困難もありましたが、メンバーそれぞれの特性を生かして乗り越えていくことができました。これも、ロータリーが異業種の団体であり、ロータリー精神が培われた仲間どうしだからこそ成し得たことであり、この活動を通して会員の絆が一層深まったことが、何よりの喜びだと感じています。今回の奉仕活動が、この上なく楽しく有意義な活動であったことをご報告して筆を置きます。

ボランティア活動を終えて・・・ 幼稚園教諭 南 いづみ

 
 ベトナムへ向かうまでに、折り紙を用意したり、手遊びを考えたりしていましたが、当日になるまで子どもたらがどんな反応をしてくれるのか不安でいっぱいでした。実際行ってみると、子どもたらは、私たちをしっかりと見て一生懸命真似をしようとしてくれる姿や、笑顔で手を振ってくれる姿を見て、ドキドキしていた気持ちもどこかにいき、子どもたらと「もっと一緒に遊びたい!」と言う気持になるほどでした。
 
どこの国でも、言葉は通じなくとも、気持や心は繋がるものなのだと非常に嬉しく思いました。しかし、私たちの住む環境との違いは大きく、日本では当たり前になっていることを、当たり前にできない環境があるということを実感しました。そして、ロータリークラブの皆さんが続けてこられている、ボランティア活動がいかに大切なのか、この活動を通してたくさんの人が助けられているということが、現地に行かせていただき、よくわかりました。
 
 今回のボランティア活動を通して、自分の目で見て、肌で感じることの大切さ、またいろいろな事に興味や関心をむけ、視野を広げることの大切さを改めて感じました。また、「日本は豊かになりすぎている。頑張ることをしない人が増えている。」という現地の方の言葉も胸にささるものがありました。何でも手に入り、豊かになってきた時代を生きる子どもたちに、幼児期の今何が必要なのかを考え、今後の保育に生かしていくと共に、ベトナムで見たり聞いたりしたことや、自分が感じたことを子どもたちや周りの人に発信していきたいと思います。
 
今後も、新しいことや経験したことないことに自分から積極的にチャレンジし、自分の知識や視野を広げていきたいです。貴重な経験をさせていただいたことを大変感謝しております。ありがとうございました。

ランチャン幼稚園訪問で感じたこと 栄養士 重本 由香里

 
【ボランティア参加前】
 何が自分にできるのか、どんなことを感じるのか全く想像ができなかった、応募の際も、自園の園長から現状を見てくるだけでも良い経験になるからと背中を押していただき参加することを決意した。
 
【実際に行き感じたこと】
 ベトナムに着き、気温・食・生活環境・歴史様々なものを見たり、肌で感じた。ベトナムの生活は良い意味で、刺激的なものであった。
 
幼稚園の周りには食用にするアヒルがいたり、野菜畑があったりと日本では食育を学ぶには羨ましい環境だと感じた。また、今回の給食室贈呈により、給食を作っている様子や匂いを身近に感じることができるので、子どもたらが食について学ぶ機会を是非取り入れていってほしいと思った。
 
 言葉も通じない中での子ども達との手遊びでは、通じないからこそ見ようとする、伝えようとする、そんな言葉以外のコミュニケーションで仲良くなることができた。人と人を結ぶ「笑顔の力」を改めて実感した。日本では言葉で伝える大切さもあるけれど、顔の表情や体の表現でもしっかりと伝わるということ、目線や姿勢を子ども達に合わせることの大切さをこれからも心掛けていきたいと思った。
 
 私自身の変化としてベトナムから帰ってきてから、保育園では子ども達と触れ合う機会が自然と多くなっていた。食を通して色々な事を教えてあげたいという思いがより一層強くなり、食育以外でも一緒に食べたり、子ども達に卒園するまでにどのくらいのことを教えてあげられるかを考え、様々な情報を集めたり、勉強したりと。自然と子どもたらに対しての思いが大きくなっていることに気が付いた。
 
周りの人達に、今回の写真、動画を見せ返ってくる言葉はどの人も、「どこの国でも子どもたらはかわいいな」「自分が思っていたのと違う」などだった。
 
自園の子ども達に対しても「かわいい」そんな感情で毎日仕事ができ、幸せに感じている。だからこそ、自分の持っている知識や技術を子ども達、保護者などに教え伝えていくことの大切さを改めて学んだ。
 
 今回の訪問を通じて、周りの人達に一つでも知ってもらう、興味を持ってもらう一歩に繋がったのではないかと思う。
 
実際に自分の足で行き、目で見てみないとわからないことがたくさんある。少しでも多くの人に自分の経験を伝えたい。
そして出会いというものを大切にしていきたいと思った。
 
【最後に】
 今回海外の子ども達と関わる経験を経て、様々な感情を得ることができ、改めて気付くことや自分への今後の課題がたくさんありました。
 
また、ランチャン幼稚園の子ども達とどのように関わっていくか、こういう場合にはこうしようなど真剣に考える保育士のプロ室井さん、南さんと一緒に活動できたこと、とても心強く2人からも学ぶことがたくさんありました。
このような貴重な体験をさせていただき、本当にありがとうございました。

こどもが安心できる場所の在り方 保育士 室井 沙樹

 
 この度、子どもニャーンボランティアスタッフのメンバーに選んでいただけたことを心から感謝します。
 
 初めて異国の人を見る子どもたちの緊張をほぐして一緒に楽しい時間を過ごすには何が出来るのか。事前に何度もメンバーで話し合い、イギリスの童謡「ロンドン橋おちた」の替え歌で「あたま・かた・ひざ・ぼん」のリズム遊びと折り紙や日本の伝承おもらやをプレゼントすることにしました。子どもたらは笑顔で喜んでくれるのか、と不安がありましたがメンバー同士で「私たちが楽しんだらきっと子どもたちも笑顔になってくれる!」と励まし合い、おまじないのように心に置いてそのときを迎えました。
 
 クラスに入ると元気な挨拶と笑顔で迎えてくれた子どもたち。その姿に私の緊張や不安が緩んでいき、自然と笑顔がこぼれて「シンチャオ!にんにちは)」と子どもたちの中に入っていくことができました。その中の一つのエピソードを追ってお話しします。
 
 2歳クラスのある女の子は私たちが部屋に入ったときから不安そうな表情でリズム遊び中もずっと手を膝に置いていました。「プレゼントどれがいい?」と尋ねても私の目を見つめるだけで手を伸ばさず、近くにいた先生が見兼ねて彼女の手を持って促しても何も取らず…。「この中に欲しいものが無いのかな?」と思い、違う色の折り鶴を持ってきてもう一度ゆっくりと尋ねていくと何度か同じ折り鶴を見ていることに気付きました。「これ?」と尋ねると、じっと折り鶴を見つめた後に私の目を見た女の子。私は彼女なりに「これがいい」と伝えているのではないかと思い、折り鶴をプレゼントしました。
 
彼女が本当にそう思っていたのかは分かりませんが視線で何かを伝えようとしてくれたこと、その視線から気持ちを読み取ろうとしたあの出来事は保育士として働く私に大切なことを再確認させてくれました。子どもたらは十人十色、様々な思いを持って園で生活しています。私は子どもにとって保育園が「第2のお家」と感じ、安心して過ごせる場所でありたいと思っています。そのためにも親代わりである私たち保育士が言葉にならない思いに気付いて心を寄せることは子どもと生活する上で最も大切で本質的なことであるということです。
 
 またボランティアに参加するにあたり、様々な面でサポートしてくださった池田ロータリークラブ様、歓迎してくださったランチャン幼稚園の諸先生方、笑顔と元気をくれた子どもたら。たくさんの方に与えてもらい、支えられた経験はこれからの人生においてかけがけのないものとなりましたに1日間の出来事をいつも心に留めて子どもと向き合うとともに、「子どもが安心できる場所」の在り方を保育士に限らず色々な人に知ってもらえるように発信していきたいと思います。

お礼 元米山奨学生 ユオン・バン・ビン

 
 池田ロータリークラブ様の社会貢献活動に対しまして厚く御礼申し上げます。
 貴クラブ様の設立60周年の際には、ベトナムのラン・チャイン村初等教育学校におきまして、校舎増築やトイレ改修などのご支援をいただきました。本年の貴クラブ設立65周年に当たりましては、同初等教育学校の給食設備整備にご支援をいただくのみならず、2019年5月に来越いただき、ラン・チャイン村との教育交流といった精神的な支えもいただきました。
 
 お陰様で子どもたらの教育施設が改善され、子どもたら、教師、そしてすべての村民が、日本からの暖かい志に感謝しております。みなさまのご支援をお受けしたラン・チャイン村の子どもたちの心には、日本からの暖かいお気持ちが一生残ると思います。本当にありがとうございました。
 
 貴クラブは65年もの長きにわたり、日本国内のみならず世界各地にまで、社会貢献を続けてこられておられますが、将来はラン・チャイン村からも貴クラブの意志と理念にお応えできる人材を教育の力で送出したいと思っております。 最後になりましたが、貴クラブのますますの発展をお祈りすると同時に、貴クラブの理念が全世界に広がるよう祈念いたします。